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レオン捕虜5 (2/3)
5話-2/3。
1 2-1、2-2 3-1、3-2 3.5
4-1、4-2 5-1
R-18、レオン捕虜。陰鬱。エレフいません。
基本勢い任せ執筆。誤字等あればご指摘下さい。
本文は続きを読むでどうぞ
5(2/3)
冷静に考えてみれば、今までこうならなかった方が不思議だった。
筋肉質な腕に羽交い絞めにされ、切っ先を突き付けられる。薄皮諸共服が引き裂かれ、露出した肌にはぽつぽつと赤い玉が浮かび、流れおちた。
「…っ、所詮奴隷あがりというものは心も醜いのだな…っ」
「あ?」
「威勢だけは良い奴だ」
「自分の置かれた状況ってもんを教えてやるっつってんだよ」
三人の男達は口ぐちに言う。
状況など、とうに理解している。今さら何を、
「がッ、は…っ」
鳩尾に深く足がめり込む。呼吸の流れが一瞬止まり、咽返るような嘔吐感。
しかしそれを赦さぬと言わんばかりに、口に何かが押し込まれる。その正体など考えるまでもない。嫌悪感に、力を込めてソレに歯を立てる。
「っぎぃ、ってぇえッ!…は…、よっぽど遊んでほしいみたいだな、このオウサマは!」
我ながら、愚かしい抵抗だとは思っていた。だが、汚らわしいと思わずにはいられなくて、意識する前にはもう反射的にその穢れた手を払い除けようと必死になっていた。
「おい、おまえはそっちだ」
「えー?俺は口の方が好きなんだけど?」
「るせぇ。おい、ちゃんと抑えとけよ」
「はいよ、後でちゃんと代われや?」
「わーってる。」
好き勝手なことを、と思う余裕が消えていく。
会話から何をされるかだなんて、予想がつく。
尤も、しばらく前の、彼らの敬愛する将軍に教えられる前であればわからなかった事ではあるのだが。
「…っ、ふ…、」
反射的に喉から声が漏れる。堪えろ、この下卑た男達を悦ばせてなるものか。
ざらつく舌ざわり、肌を撫でる指の感触、無様に股を広げられ、熱を帯びていく。
足をばたつかせようとすれば手の空いた男がすぐさま抑えにかかり、自由を奪われただされるがまま、望まぬ快楽の波に流されそうになる。
「そろそろいいんじゃね?」
じゅる、と吸い上げ、びくつくのを見て男は私を羽交い絞めにする後ろの男へと声をかける。
後ろの男の荒い息遣いが耳元で聞こえ、私の腰を持ち上げられたかと思えば張りつめたものが宛がわれる。
それは、些か急ぎすぎた、行為。
「ぁ、ま…ッ、ぎ、ぃッッッッ!!!!!」
躊躇なくろくに慣らされてもいない其処に勢いよく差し込まれ、鋭くも鈍い痛みが駆け抜けた。
強い衝撃に頭がぼうとする。痛みに耐える間もなく続けて腰を振られ、前からは暖かな感覚。混ざり合う感覚にただ息を荒げるしかない、
瞬間。
髪を掴まれ強引に顔を引き上げられたと思えば、喉の奥に固いものが押し込まれる。
それは何度も何度も喉の奥を突き、繰り返し襲う嘔吐感すらも押し込める。
「馬鹿な真似はすんなよ、どうなるかわかってんだろうな?」
馬鹿な真似もなにも、息すらろくに吸えないひたすら揺さぶられるこの状況で、霞む視界に痺れていく手足。この状況で一体何をしろというのだ。
ゆっくり、景色は沈んでいく。
***
目を開くと、冷たい床に横たわっている事に気づいた。
体を起こす事すら酷く辛い。あちこちが痛む。
ぶるりと体が震える。寒い。自らの体を抱くように肩に手をやると、昨夜のまま衣類は千切れ肌が晒されている事に気づく。
嗚呼、思えば、エレフは最初から優しかったのだな。
気を失い目がさめれば其処はお世辞にも快適とは言えないが、ちゃんと寝具の上で。そうでなくても一枚、掛け布団…とは呼べぬほどの襤褸い布地だが…が、かけられていた。
改めて、自分の考えは甘かったのだろうかと思う。
この環境に慣れたような気になって、未だ鳥かごの中だったとは。
「…ったら、俺も呼べよ」
「わりぃわりぃ、こういうのには興味ねぇかと思ってたわ」
近づく足音。声は…2人?いや、3、4…
また、なのか。
「よう、王様。気分はどうだぁ?」
「……」
返事の代わりに見上げ、睨んだ。
あの日から繰り返される行為。毎夜毎夜懲りもせず、顔ぶれを代え訪れる男ども。
四肢の自由を奪われた上であらゆる事を強要され、抵抗を見せれば殴られ蹴られ時には切っ先で肌を撫でられる。何度果てようが許されず、意識を失うまで続けられる行為。目覚め、用意された質素すぎる食事を摂り、数時間身体を休めれば再び夜が訪れる。
最初の夜より一番頻繁に訪れる、主犯格と言えるその男は、気に入らない、と言いたげに眼を細め、舌打ちする。
―そうだ、あの剣さえ奪えれば、
看守の腰にかかる鞘に目がいく。幸運にも今はまだ何の拘束も施されていない。チャンスはある。
何故、この様な奴らに好き勝手されなければならない?
「どうせやるなら綺麗な顔だな」
「文句ねぇだろ?」
好き勝手言ってくれる。耳障りな声。しかしそうして油断していればいい。
チャンスは一度。成功以外に道は無い。失敗すればそれは即ち、死。
―それでも、構わない。
それは死の享受ではなく、逃走路。狂ったこの世界から逃げ出す、おそらく唯一の手段。この行動が齎す二つの結末はどちらも希望となるだろう。
無意識の内に死を求める。その様な己の感情には気付かず、現状打破の方を探る。
看守共が雑談に興じている間に、狙いを定め、
「…っんな!!」
勢いよく飛び出し、剣を奪い、切っ先を向け牽制、
「…ッ!なに、しやが、るッ!!」
「っく、ぁが…ッ!!」
剣を奪い、牽制、―するはずだった。
呆気なく寸手のところで身体を退けられ、勢いのついた体は止められず、同時に捻じ伏せられ、地面に体を叩き付けられる。
「あぶねぇなぁおい」
「馬鹿な真似しやがって」
「よっぽど酷くされたいみたいだなァ、あぁん?」
「…ッ、ぅ…ぁ…」
それは第三の結末、私にとって想定外の、最悪の結果。
床へと強く激突した左肩が痛い。目もとが引き攣る。冷たい汗が滲む。
「さて、王様、今日はどんなのがお望みだい?あぁっ!!?」
「っ、が、あぁあアアアッ!!」
痛む腕を後ろから捩じり上げられ、激痛が走り絶叫が漏れた。別の男に間も置かず髪を掴み顔をあげさせれば涙が浮かび青ざめた顔が露わになる。
そして繰り返される行為。無意味な抵抗を繰り返す程に傷跡は増え。やがて景色が薄れ、意識は闇へと堕ちていく。
いつまで、繰り返すのだ。
***
「っっッてぇえエ!!…ちっ、いい加減大人しくしやがれってんだ!」
繰り返す、繰り返す。
それでも何故だろう、彼等に与えられるものはとても汚らわしく、受け入れようなどとは思えない。
抵抗の後に待つのは暴力と知っているのに、まさかそれを欲している訳でもないのに、折れる気になど到底なれなかった。
かれこれひと月ほど、続いただろうか。
流石に疲労は蓄積し、精神と肉体が擦り切れていく。
朝と夕、食事…とも呼べぬもの…は一日に二度運ばれる。口に合わない等言った処で口にせねば生きながらえることも出来ぬ。
外の世界の事はわからない。だが自国の状況を知らず、存続の可能性があるのならば、王として死を選ぶ事は許されない。
だが、
「…ぐ…ぇ…っ、」
体内から押し上がる、感覚。気持ちが悪い、内臓を鷲掴みにされ掻き混ぜられた様な痛み。
徐々に食欲が失せていくのは感じていた。腹部に打撃を与えられる事もあり、そのせいもある。
だが二日ほど前から、完全に喉を通らなくなった。
匂いを一嗅ぎすれば、舌に味を感じれば、口内に異物が侵入すれば、それは全て吐き気へと。
「げほっ、かはっ、…ッは…、」
既に出せるような物はなく、胃液を吐き出す。その酸に喉は痛み咳込めば更に傷んでいく。
逃げる事に失敗した日痛めた肩も未だ治る気配を見せない。愚かしく抵抗を繰り返す度に重ねるように叩きつけられ、力を入れる事さえ難になる左腕は震えるばかり。
かつ、かつり、
ああ、もうそんな時間なのか。
いつまで経っても耳に馴染まぬ足音。
このまま繰り返せば、"終わり"が訪れるのもそう遠くはないだろう。いっそ、早く"そう"なればいい。
その考えが甘かったのか。
「手前が馬鹿な真似出来ない方法を考えてやったぜ」
男は言う。その言葉は耳に入るも咀嚼できず、通り過ぎていく、
はずだった。
「ほらよ」
奥の男が手にした縄を引っ張ると、更に奥より見なれぬ人影が押し出される。
その人影は男に背を蹴られ、地に膝を突く。
「…う……」
人影が呻き、伏せられていた顔をゆっくりとあげれば、灯がそれを映し出す。
「! ぁ…カ…、…」
その顔は、とても懐かしく、もう見ることもないと思い始めていた…
「…、陛、下…」
「カストルッ!」
この地へ供に訪れた、最も信頼を置く臣下の姿がそこにはあった。
後ろ手に縄で縛られ、看守の一人がすぐ後ろにぴったりと付き動きを見張る。
その手には剣。鞘には収められてはいない。
「何故…このような…っ」
「陛下…申し訳ございません…」
すぐにでも駆け寄りたい。だが続く嘔吐感と彼に向けられた切っ先がそれを赦してはくれない。
恐らく彼も捕えられたのだ。それがいつなのかはわからない。私を時を同じくしてか、一度は生き延び、再び奴隷軍と見えた際に捕えられたのか。尤もそのような些細な事はどうでもいい。
「…ご無事で何よりです。」
「お前こそ、」
「語らいはそのあたりでやめてもらえますかねぇ?」
看守は少し苛付いた様子で言葉を挟む。そしてにたりと笑みを浮かべ、私へと歩みよる。
「今日はあんたの好きにしてもらおうと思ってな?」
厭らしい笑み。言葉の意味がわからない。いや、わかりたくない。
ぞろぞろと、男達は私を取り囲み。その数は、四。
何を、すればいいかなんて、
まさか、逃げるなど、そうすれば、
「陛下…っ」
切っ先がきらりと光る。
好き、に、し、て なん、て、そんな、
嗚呼、何を選んでも、最善手など何処にもないではないか。
続く