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レオン捕虜4 (1/2)
4話前半。新章突入気味。此処から鬱度増し増し予定。
1 2-1、2-2 3-1、3-2 3.5
R-18、レオン捕虜
基本勢い任せ執筆。誤字があればご指摘下さい。
本文は続きを読むでどうぞ
4(1/2)
ずっと前から、こうしていた気がする。
***
あれは、そうだ、イリオンを落とした少し後の事だ。
少数の部隊を引き連れて彼らはやってきた。
一目見ただけで理解した。
『仇』
彼は名乗った、自らが相手との宣言、手だし無用と言わんばかりに臣下達に合図を送る。
それは此方も同じ。奴だけは、この男だけは!私がこの手で!叩き斬り、引き裂いて、どう足掻こうとも戻れぬ深き深き冥府の底へと沈めてやる!! 視界が真っ赤に染まった。景色など消え失せた。
殺してやる殺してやる殺してやる
何故だと?同胞?巫山戯るな、笑わせるな!神の前に犠牲は付き物だと、言いたいのか?
貴様だけは、<アルカディアの王>だけは、許さない、赦せない!
「エレフセウス?」
な、ぜ ?
その名は、その名を、私の名を、何故、何故、何故、貴様が、何故、今出遭ったばかりの、何故だ
おとうと?きょうだい?しんたく?この男は、何を何を何を???
父母を奪ったあの男は、アルカディアの、ミーシャを殺したあの男は、
お前は、アルカディアの
ぼくは、おまえ<あるかでぃあのおう>の<きょうだい>?
失われた音声と視界が鮮やかに蘇る。
刃のぶつかり擦れ合う金属音、兵達の声。戦況は。私は、彼を、この男を、妹の仇を
兄を?
「エレ―ッ!!」
雷槍が弾き飛ぶ。
喉元に突き立てられるは黒き双剣。
意味がわからない。言葉はただの音で意味など持たない。
どういう、誰か、教えて、誰か、こいつが知ってる、ならば、教えろ。
「此奴を捕えよ。」
***
「お早う御座います、閣下」
扉を開いた先に出迎えたのは我が軍の優秀な参謀。
おはよう、とは言葉ばかり。太陽は既に頂点に在り、其れは彼らしい皮肉めいた言葉。
私をからかっているにしては笑顔がない。
一目姿を確認したかと思えばすぐ視線を逸らし、眼下の文書に筆を滑らし続ける。
「配置は上手くできたか?」
昨晩彼に頼んだ事。次の戦に備えての各種配置。
彼は武術こそ秀でてはいないが、その反面頭が切れる。恐らくこの軍の誰よりも。
正直なところ私はそっちの面は不得手だ。だからつい任せきりにしてしまう。
「えぇ、」
返ってきたのは短い返事。
彼は筆を置き、一呼吸おいて横目で此方を見上げ、言う。
「閣下があの男とお戯れになっている間に八割方は。」
それは嫌味。
間違いなく疑いようもない程の嫌悪。
侮蔑、とも取れるだろうか。
あぁ、まただ。最近手の空いた時に顔を合わす此奴はこの話題ばかり。
「…閣下が、誰を抱こうと、構いません、が!」
がたん、と椅子が音を鳴らし、彼の目線が真っ直ぐ並び、近寄る。
「奴は敵です!しかも!国王、我らが憎むべき最たる者ではないのですか!?」
「オルフ、声が大きい。」
「閣下!」
まるで犬の様に吠える。
彼の言い分も尤もだ。
私とて、何故、これ程までに繰り返し牢に閉じ込めた男の元へ向かうのか、その真意を自身の事ながら分からずにいるというのに。
「…私は、案じているのです。」
「…」
「奴は、敵です。」
わかっている。そう何度も繰り返すな。…言ったところで火に油を注ぐようなもの。あえて口には出さない。言葉が尽きるまで受け流すしか―
「どの様な想いを抱こうと、彼はいずれ死せる者。余計な感情を抱く事は良しとしないでしょう。」
―死せる―
あぁ、
「一体何時まで捕虜としておく必要があると言うのですか。奴の首を落せば其れだけでアルカディアへの勝利は確定する、時期尚早であるとは、私は思いません!」
***
「…っ、ふ、は、ぁッ」
失念していた。
「エレ、ふ、っんンンンぁあ!」
「ッ…」
何を、勘違いしていたのだろう。
何処で、見誤ったのだろう。
殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル仇ヲソノ首ヲ顔ヲ腕ヲ脚ヲ腹ヲ全テ全テ全テ引キ裂イテコノ手デ私ガ自身ノ犯シタ罪ニスラ気付ケヌソノ愚カサヲ悔イル間モ与エテヤルモノカ斬リ裂イテ殺シテ殺シテ、
それは誓い
満月に向けた叫び、授かった黒き剣、全ては復讐の二文字へ。
「がッ!、ぁ、ぁっク…、ァ…、?」
行為の最中、唐突に白い首に手をかけた。
軽く力を込めれば煽情的な嬌声は、アヒルの様なくぐもった呻きへと一瞬で変貌、苦しさに顔を歪める。
「エ…、え、れ……?」
何が起こったのかわからない、とでも言いたげな顔で彼は薄く開いた瞳を向ける。
「……レオンティウス、」
そうだ。彼は王。
憎き地の国王。仇。
殺す為に出遭い、
殺す前に話を聞きだす為に捕え、
苦しめる為に傷を負わせ、組み敷き、
気がすんだら殺す為に
殺す、
「…っ!」
「が、ぅ…ッア…っ!」
かけた手に力を込めたまま繋がった身体をを突きあげる。
苦しさと快楽が混じり合いながら彼の体を襲う。青ざめた苦悶の表情は苦痛とも快楽とも言い知れぬ。
このまま手を放さなければ、いずれ彼は息絶える。そう、死ぬ。この手で、いとも簡単に。
逆らうこともしない牙を失った脆弱な獅子。
殺してしまえば
あぁ、ミーシャ、ぼくは
「…っは、けほッ、ケホっ、ハ、ぁ…っ」
あの日の誓い
決して消えさる事のない炎
そう、信じていた
「"兄上"…」
腕を背に、強く、強く、抱き寄せる。
この腕の中にあるものは―…