[PR]
2025年01月03日14時30分
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
アメ捕虜(序章)
2009年08月25日21時47分
うっかり勢いで書いてしまった。先にレオン捕虜終わらせないという突っ込みはスルーさせてください。
・死せる英雄その後。
・アメジ捕虜。母上乱入しなくてレオンが勝った。
・いまのとこCP未定。こっからどうとでも転べるよ状態
・うちのアメ捕虜の基盤設定、ってだけです。
・勢い任せなので相変わらず誤字脱字チェックしてない^q^
※某お宅のレオアメに影響受けてたので似たり寄ったりな設定が見受けられるかもしれませんが
本人様に報告済み・了承得てますので、色々ご安心ください。
ていうかうちのはレオアメになるかどうかもわからん!
うっかり私の方がこの辺の話を先にうpしちゃったけど先方様の方が先に存在してる設定なのでスミマセン!
・死せる英雄その後。
・アメジ捕虜。母上乱入しなくてレオンが勝った。
・いまのとこCP未定。こっからどうとでも転べるよ状態
・うちのアメ捕虜の基盤設定、ってだけです。
・勢い任せなので相変わらず誤字脱字チェックしてない^q^
※某お宅のレオアメに影響受けてたので似たり寄ったりな設定が見受けられるかもしれませんが
本人様に報告済み・了承得てますので、色々ご安心ください。
ていうかうちのはレオアメになるかどうかもわからん!
うっかり私の方がこの辺の話を先にうpしちゃったけど先方様の方が先に存在してる設定なのでスミマセン!
世界は真っ暗。
小さな灯りだけが頼りの石壁に囲まれた薄暗い地下には、風も吹かなければ、空なんて見えるわけもない。
空だけではない。あかりも、僅かな先も、何も見えない。
もう、何も
―そう、私には何もないのだ。
紫眼の狼と忌み恐れられた奴隷軍の将軍、アメテュストス。それも今では過去のもの。
先の戦にて雷神域の獅子王に敗れた狼は囚われの身。冷たい鎖によってこの隔離された空間に留められていた。
早々に処刑すべきか、これを盾に異民族と奴隷軍を一掃してしまうか―。この国の判断を待つまでの仮住まいとも言えるべき場所における彼への待遇は、決して良いとは呼べないもの。
見張り役に置かれた位の低い兵達は彼を殴り、嬲り、玩ぶ。
毎夜飽きもせず、繰り返されるそれは確実に彼を削りゆく。
しかし、狼は黙した儘。
腹を蹴り上げる。微かな呻き声に口を開き、噎せ、嘔吐し。そして、黙す。
その身を貫き、ひたすらに揺さぶる。息を荒げる。焦点はどこにも、ない。行為が済めばそのまま微動だにしない。
食事を口元へ押しつける。まるで気づいていないかの様に、無反応。無理やりに口を開かせ押し込めば、そのまま嚥下。
話しかける。反応なし。
***
「アメテュストス、私を覚えているか?お前と対峙したこの国の王だ。」
「…、……。」
緋色のマントを纏いし獅子。狼をあの日打ち倒したアルカディア国王レオンティウス。彼がこの牢を訪れたのは気まぐれに近い。近い、が、理由がないわけではなかった。
臣下達に彼の処遇の決断を迫られる。しかしその度何故だか言葉を濁し決断を先送りにしてきた。
対峙したあの日、彼が口にした言葉の一つ一つに引っかかりを覚える。我が国が彼に何をしたのか。
捕えて暫くはそんな言葉忘れていた。だが暫くしてふと甦り、日増しあの自分を見据えた紫眼が脳裡に焼きつく。
違和感の正体を突き止めたかった。だから、此処へ来た。
「何故同胞のお前がアルカディアに敵対した?その理由を聞くわけにはいかないか?」
単刀直入に聞く。答えてくれるとは思わない。
「……。」
狼に言葉自体は届いているらしい。僅かに視線を此方に移すが、すぐに逸らされ再び虚空へと。
言葉は何も帰ってこない。あの日確かに向けられた憎しみの念すらも、何もない。
これは、もはやただの人形なのだろう。
***
「本当に、参られるのですか?」
王宮の廊下に響く足音ふたつ。
「我儘を言います。すみません。」
ひとつは男、ひとつは女。彼らの向う先は、この王宮の暗部。
その歩みに迷いはなく、まっすぐに其処へと向かう。
「た…っ、太后宮…!?」
「すみません、暫く席を外していただけますか」
通常このような場に現れるはずがない姿に兵は驚き今にも腰を抜かしそうになる。しかし彼女、この国の先王の妻、イサドラは一礼し、迷うことなく言い放ち彼らを立ち退かせる。
そのすぐ後ろには彼女の息子―現アルカディア王の右腕である男、カストルの姿。
彼女らが目指したその場所に、彼女が求めた姿があった。
その姿を目にとめて、彼女は息をのむ。
「…<アメテュストス>…ですね。……、…はじめまして、この国の皇太后、イサドラと申します。」
冷たい柵を挟んでの、届いているかもわからない言葉。彼はまだ一目たりとも此方を見ようとしない。此方の存在に気づいているのかすらあやしいものだ。
「イサドラ様、」
「カストル…、やはり…。」
二人は悟る。いや、既に知っていた。ただ、この目で確かめる必要があった。
彼の処遇の決定が遅れているのは何もレオンティウス一人のせいではない。真実を知る今となっては唯一の存在である彼らも、間接的に決定を先送りにするよう根回ししてきたのだ。
「……何を、しに、…きた……」
突然、ぽつりと声。
鎖に繋がれたままの狼は、顔を伏せたまま呟く。
「わたしは、この国に牙をむいた反乱軍の将…、はやく、殺せば…いい…」
その声は、絶望の色。光も希望も全て失った奈落の色。
「…、アメテュストス。殺すも生かすも此方の都合次第。…貴様の望みは、聞いていない。」
それは苦渋に満ちたカストルの答え。彼にとって敵軍の兵である者としての、立ち振る舞い。
隣に立つイサドラもそれを理解し、ただ黙したままじっと囚われの狼の姿を見守る。
「…、…」
と、ふいと、
アメテュストスが、ゆっくりその顔をあげた。
彼は先ほどの声の主の男―カストルへと顔をむけ。定まらない焦点が、次第にまっすぐと彼へと。
「……とう、さ…ん…?」
「「!!」」
嗚呼、しまった。
二人とも、初めてそこで気づく、自分たちが犯した最大の過ちに。
いや、過ちなのか、それは幸運であったのか。今はまだそれを判断する事はできない。しかしそうなることは彼らの本意ではなく。
遠い日に赤子を連れ、去っていったアルカディアの双璧の片割れ。
よく似た姿の兄弟。
嗚呼、もう疑いようがないではないか。
***
”あの者と戦ってはなりません”
それは母の言葉。
”あの者は…”
遮った言葉の続きはなんだったのか。
聞けなかった言葉、否、聞こうとしなかった。聞けば恐らく戦わねばならない我らは戦えなくなる。だから、遮った。
”愛する者を奪っただけではないか”
我らは彼から何を奪ったのだろう
”奴もまた陛下と同じく…”
彼が、何の眷属だというのだ。ただの奴隷あがりの者が、眷属であるわけがない。
ただの奴隷?本当に?
紫水晶の瞳、どこかで見た?
私は知っている?
”アメテュストスを、捕えたのですか…?”
戦から戻りその日の出来事を軽く語っただけなのに、母は何故驚いたのだろう。
”此奴はやつらの将。まだ使い道もあるでしょう、生かしておくべきかと。”
最初にそう言いだしたのは誰だ…そうだ、カストルだ。
何故だ。
彼は、誰だ?
”立派な――……”
ゆるやかに、屑籠の底辺に埋もれていた記憶の欠片が、姿を見せる。
***
暗闇の中に、突き落とされた。
何も果たせず捕えられ、甚振られるだけの日々。心などとうに失い、いずれ朽ち果てるのをただ待っていた。
だけど
あの男は、誰だ
一緒にいた女は、恐らく、たしか自分で名乗っていた。よく覚えていないが、皇太后、だか。
何故このようなけがらわしい場所に足を踏み入れる?
少しずつ湧き上がる疑問
といって、今更どうすることもできない。どうする気もない。
もう、話すことも、動くことも、何もかも忘れてしまった。ゆっくりと背後から伸びる両手も、最早迎えることはないだろう。
きっと自分は何処にもいけず、ただこの闇に消えていく。
もう、とっくに消えているのかもしれない。
ただ息をするだけの人形は、ゆっくりと、最期の時を迎えようと、
「アメテュストス、お前を迎えにきた。」
薄れゆく意識の中に、声を聞いた。
小さな灯りだけが頼りの石壁に囲まれた薄暗い地下には、風も吹かなければ、空なんて見えるわけもない。
空だけではない。あかりも、僅かな先も、何も見えない。
もう、何も
―そう、私には何もないのだ。
紫眼の狼と忌み恐れられた奴隷軍の将軍、アメテュストス。それも今では過去のもの。
先の戦にて雷神域の獅子王に敗れた狼は囚われの身。冷たい鎖によってこの隔離された空間に留められていた。
早々に処刑すべきか、これを盾に異民族と奴隷軍を一掃してしまうか―。この国の判断を待つまでの仮住まいとも言えるべき場所における彼への待遇は、決して良いとは呼べないもの。
見張り役に置かれた位の低い兵達は彼を殴り、嬲り、玩ぶ。
毎夜飽きもせず、繰り返されるそれは確実に彼を削りゆく。
しかし、狼は黙した儘。
腹を蹴り上げる。微かな呻き声に口を開き、噎せ、嘔吐し。そして、黙す。
その身を貫き、ひたすらに揺さぶる。息を荒げる。焦点はどこにも、ない。行為が済めばそのまま微動だにしない。
食事を口元へ押しつける。まるで気づいていないかの様に、無反応。無理やりに口を開かせ押し込めば、そのまま嚥下。
話しかける。反応なし。
***
「アメテュストス、私を覚えているか?お前と対峙したこの国の王だ。」
「…、……。」
緋色のマントを纏いし獅子。狼をあの日打ち倒したアルカディア国王レオンティウス。彼がこの牢を訪れたのは気まぐれに近い。近い、が、理由がないわけではなかった。
臣下達に彼の処遇の決断を迫られる。しかしその度何故だか言葉を濁し決断を先送りにしてきた。
対峙したあの日、彼が口にした言葉の一つ一つに引っかかりを覚える。我が国が彼に何をしたのか。
捕えて暫くはそんな言葉忘れていた。だが暫くしてふと甦り、日増しあの自分を見据えた紫眼が脳裡に焼きつく。
違和感の正体を突き止めたかった。だから、此処へ来た。
「何故同胞のお前がアルカディアに敵対した?その理由を聞くわけにはいかないか?」
単刀直入に聞く。答えてくれるとは思わない。
「……。」
狼に言葉自体は届いているらしい。僅かに視線を此方に移すが、すぐに逸らされ再び虚空へと。
言葉は何も帰ってこない。あの日確かに向けられた憎しみの念すらも、何もない。
これは、もはやただの人形なのだろう。
***
「本当に、参られるのですか?」
王宮の廊下に響く足音ふたつ。
「我儘を言います。すみません。」
ひとつは男、ひとつは女。彼らの向う先は、この王宮の暗部。
その歩みに迷いはなく、まっすぐに其処へと向かう。
「た…っ、太后宮…!?」
「すみません、暫く席を外していただけますか」
通常このような場に現れるはずがない姿に兵は驚き今にも腰を抜かしそうになる。しかし彼女、この国の先王の妻、イサドラは一礼し、迷うことなく言い放ち彼らを立ち退かせる。
そのすぐ後ろには彼女の息子―現アルカディア王の右腕である男、カストルの姿。
彼女らが目指したその場所に、彼女が求めた姿があった。
その姿を目にとめて、彼女は息をのむ。
「…<アメテュストス>…ですね。……、…はじめまして、この国の皇太后、イサドラと申します。」
冷たい柵を挟んでの、届いているかもわからない言葉。彼はまだ一目たりとも此方を見ようとしない。此方の存在に気づいているのかすらあやしいものだ。
「イサドラ様、」
「カストル…、やはり…。」
二人は悟る。いや、既に知っていた。ただ、この目で確かめる必要があった。
彼の処遇の決定が遅れているのは何もレオンティウス一人のせいではない。真実を知る今となっては唯一の存在である彼らも、間接的に決定を先送りにするよう根回ししてきたのだ。
「……何を、しに、…きた……」
突然、ぽつりと声。
鎖に繋がれたままの狼は、顔を伏せたまま呟く。
「わたしは、この国に牙をむいた反乱軍の将…、はやく、殺せば…いい…」
その声は、絶望の色。光も希望も全て失った奈落の色。
「…、アメテュストス。殺すも生かすも此方の都合次第。…貴様の望みは、聞いていない。」
それは苦渋に満ちたカストルの答え。彼にとって敵軍の兵である者としての、立ち振る舞い。
隣に立つイサドラもそれを理解し、ただ黙したままじっと囚われの狼の姿を見守る。
「…、…」
と、ふいと、
アメテュストスが、ゆっくりその顔をあげた。
彼は先ほどの声の主の男―カストルへと顔をむけ。定まらない焦点が、次第にまっすぐと彼へと。
「……とう、さ…ん…?」
「「!!」」
嗚呼、しまった。
二人とも、初めてそこで気づく、自分たちが犯した最大の過ちに。
いや、過ちなのか、それは幸運であったのか。今はまだそれを判断する事はできない。しかしそうなることは彼らの本意ではなく。
遠い日に赤子を連れ、去っていったアルカディアの双璧の片割れ。
よく似た姿の兄弟。
嗚呼、もう疑いようがないではないか。
***
”あの者と戦ってはなりません”
それは母の言葉。
”あの者は…”
遮った言葉の続きはなんだったのか。
聞けなかった言葉、否、聞こうとしなかった。聞けば恐らく戦わねばならない我らは戦えなくなる。だから、遮った。
”愛する者を奪っただけではないか”
我らは彼から何を奪ったのだろう
”奴もまた陛下と同じく…”
彼が、何の眷属だというのだ。ただの奴隷あがりの者が、眷属であるわけがない。
ただの奴隷?本当に?
紫水晶の瞳、どこかで見た?
私は知っている?
”アメテュストスを、捕えたのですか…?”
戦から戻りその日の出来事を軽く語っただけなのに、母は何故驚いたのだろう。
”此奴はやつらの将。まだ使い道もあるでしょう、生かしておくべきかと。”
最初にそう言いだしたのは誰だ…そうだ、カストルだ。
何故だ。
彼は、誰だ?
”立派な――……”
ゆるやかに、屑籠の底辺に埋もれていた記憶の欠片が、姿を見せる。
***
暗闇の中に、突き落とされた。
何も果たせず捕えられ、甚振られるだけの日々。心などとうに失い、いずれ朽ち果てるのをただ待っていた。
だけど
あの男は、誰だ
一緒にいた女は、恐らく、たしか自分で名乗っていた。よく覚えていないが、皇太后、だか。
何故このようなけがらわしい場所に足を踏み入れる?
少しずつ湧き上がる疑問
といって、今更どうすることもできない。どうする気もない。
もう、話すことも、動くことも、何もかも忘れてしまった。ゆっくりと背後から伸びる両手も、最早迎えることはないだろう。
きっと自分は何処にもいけず、ただこの闇に消えていく。
もう、とっくに消えているのかもしれない。
ただ息をするだけの人形は、ゆっくりと、最期の時を迎えようと、
「アメテュストス、お前を迎えにきた。」
薄れゆく意識の中に、声を聞いた。
PR
Comment