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2017年11月18日20時45分
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エレレオ捕虜アフター「夢視る化石」

2009年12月01日23時37分
原稿逃避で突発で書き上げた。構想自体は連載中からあったのです。
しかし文章久々で拙さがバージョンアップ。勢い任せ突発なので気にしません。読みづらいのはご覚悟ください。

ということで前連載してたレオン捕虜小説の後日談in冥府。
(本編はカテゴリ「SS」から飛んでください)
タイトルは花帰葬のEPタイトルから拝借。

鬱々。 エレフが女々しい。むしろこのエレフ総受けじゃね?
ちゅーもエロもないですがエレレオが本編なくせにエレフ受け受けしいので軽く注意。
ちょっとタナトスが悪い人みたいな扱いです。


本文は続きでどぞー

 もう、何もない。
 痛みを味わうために失う何かも、もう、ない。

 私の意識は闇へと溶けた


***


『息仔ヨ、兄妹ニ会ィタィカ?』
 眠るように溶けた暗闇の意識の中、低い声が響く。
『ォ前ノ愛スル家族ニ、…ククク、会ィタィダロゥ?』
 家族、兄妹。
 父様、母様、ミーシャ、…レオン。
 もう誰もいない。一つずつ失った。別れの言葉すら告げることも叶わず、指先に触れる事すらなく零れ落ちていった。
『ナァニ、悩ムコトナドナィ。ォ前ガ望ムナラバ会ワセテヤレルノダ。』
 会いたい、会えるものならば。
 だが、会えるわけはない。
 水面に浮かぶ月
 冷たい地に縛られた動かぬ身体
―彼らは、確かに死んだのだ。
 会わせてやれる、か。都合のいい幻でも見せてくれるのか。
「会い…た、い…」
 言うだけならタダだ。どうせ会えはしない。
 もう私の身体は私のものではなく、彼の器<モノ>。意識体となり果て、形さえ持たない朧気な存在。
 そんな私だ。夢を視るぐらい許されるだろう。

『サァ、息仔ヨ――』


 僅かな眩しさを瞼の裏に感じ、そっと目を開く。
 広がる暗き世界、―冥府。吹き抜ける風の音だけが響く虚無の空間。
「……」
 久々に目にした。己の肉体。掌を開閉させる。意思の通りに動く。人としてあたりまえにある、されど今の私には久しい感覚。
 しかし今更肉体を手にしたところで―
「エレフ…!」
 声。
 懐かしい声。懐かしさから幾年か年を重ねた、綺麗な、ずっと求めた、こえ。
 振り返り、目に飛び込む容貌。
 最後に視た、青白く照らされた人形ではない、それは、紛れもなく
「エレフ、やっと会えたね。」
「…っ…ミーシャ…ッ!!」
 反射的に足が駆け出す。
「…っ!!!」
「エレフ!?」
 と、同時に、足がもつれ、盛大に転び、顔面を打つ。久々に得た肉体、元々自分の元だとは言え、意識だけの私には久しく動くという概念がなかった。だから、なじまず、転んだのだ。…そういう、こと、だと、思いたい。
「大丈夫、エレフ!?」
 ぱたぱたと逆に駆け寄ってくる足音、そっと肩に触れる温もり。
 嗚呼―
「…やっと…会えた…」
 触れた手をぎゅ、と握り返す。強く強く、握りしめる。肩が、ふるえた。
「…ずっと、探してたんだ…別れてから、ずっと…ずっと。手掛かりなんて何もなくて…でも、探した…」
「…エレフ…」
「やっと、会える、って…思ったのに、どうして、先にいっちゃうんだ…!!…どう…し、て…」
 間に合わなかった。ほんの僅かに、間に合わなかった。
 でも、たとえあと少し早くたどり着くことができたからと言って、君を助けられたのだろうか。
 運命に抗わず受け入れることで強さを手にいれようとした君は、たとえ僕がいても、その運命に身を委ねたのではないだろうか。
「ごめん…。…ずっと、一緒にいたら、ミーシャを死なさずに済んだのに」
 そもそも、イーリオンから逃げたあの時、離れ離れにさえならなければ。
 僕がしっかりと君の手を握り締めてさえいれば。
 どうして、気づいた時には遅すぎるのだろう。
「エレフ…ごめんね…」
 温かな、ぬくもり。背にまわされる腕はまるで母の様で。
 眠る前に隣で絵本を読んでもらいたい、そんな、懐かしい記憶すら思い起こす、感傷。

 嗚呼、だからこそ

「…夢から、醒めたくない…」
「エレフ?」
「でも」
 温かな手を振りほどき、突き放す。
 彼女は疑問を顔に浮かべ、ふたたび手をのばしてくるがそれも振り払う。
「幸せな夢は、醒めた後が、辛い。」
 なんて、いい夢。ミーシャに会えた。ミーシャと触れあえた。それだけで、十分だ。
 これ以上は、もう、辛すぎる。
「エレフ、どうしたの?夢じゃないのよ?私はここにいるのよ?」
「……っ」
 もう、話しかけないでくれ。
 もう、失いたくない。夢を夢とわからなくなる前に、はやく醒めたい。
「ねぇ、エレフ、聞いて。タナトスが私の魂を此処に呼んでくれたの。」
 突然、何を言い出すのか。
「たしかに私は死んだけれど、この世界には、今、あなたの前には確かにいるのよ。」
「はっ…なんて…都合のいい……」
「本当なの!」
「もうやめてくれ!!」
「エレフ…!!」
 耳を塞ぐ、目を瞑る。見たくない、聞きたくない、幸せな夢はもう十分だ。現実だと信じて、どうせその先には誰もいない真実が待ってるだけなのに!!

「エレフ。」

 違う、声。
 ミーシャではなく、男性の、よく知った

「…ど、う、して…」
「…お前の帰りを待てなくて、すまなかった。」
 兄さん、あなたまで。
 こんなの、酷だ。
 壊れるとわかっているのにこんな幸せ、酷過ぎる。
「またお前を一人にさせてしまったこと…申し訳なく思っている。」
「…な、ら…なんで…こんな……」
 そっと目を開けば、横には、声の主の姿。そして変わらずミーシャの姿もあって。
 ミーシャがいて、そして、レオンもいる。 きっと、望めば、父様も母様も、誰もかれも。私が失った全てが、ここで会える。
 当然だ。夢なのだから。明晰無の中では私が創造主となれる。望めば鳥の様に空も飛べるだろう。
 会いたかった。それを望んだ。でも僅かに姿を見られたならそれでよくて、其れ以上なんて求めない。
「もう、十分だ。…だから、さよなら。」
 ゆっくり目を閉じる。そうすれば再び元の何もない世界へ溶けていける。
「…エレフ、私たちは此処にいる。」
「…っ…」
「どうしたら、信じてくれる?」
 溶けて、いけ、
「ねぇ、エレフ…ごめんなさい。信じてとしか言えないけど、本当なの。」
 はやく、こんな夢、
「私もお前ともっとたくさん話したかった。だから、会えて嬉しいのだ。」
 ふたつのぬくもりに、つつまれる。
「っ…め、…」
「?」
 もう、
「やめろ、やめろ、はやくきえろ!ゆめだ、ゆめなんだから、どうしてさめてくれない!?きえろ、ミーシャも、レオンも、もういないのに!!嫌だ、もう失いたくないだから早く夢だとわかるうちに、お願いだから…お願い、だから……・、…さめ…て…・…」
 わかってる。醒めない。これは悪夢。もしくはタナトスが見せる悪趣味な幻想。
 どう望んでも、消えることはないのか
 こんな事なら、僅かにでも、夢でもなんて、望まなければよかった。
 失うことの痛みなんて、失うものがあれば慣れることはない。
「…消えてくれない…。…なら、…僕が、けせば、いいかな…」
 剣は、ああ、都合よく、ちゃんともってた。よかった。なくてもこの手があるからどうにでもなるけど。
「ごめん、幻でも、ミーシャやレオンに、こんな事はしたくなかった。」
「エレフ…?」
「エレフ、落ちついて。…どうすれば、私の事を信じてもらえるの…?」
 ダマレ、幻。
「…消えてくれないから、悪いんだ。」



 ほら、消えた。
 動かなくなった身体は霧みたいに溶けて、消えた。
 これで、何も無い。
 もう満足だ。

『遠慮スルナ。折角会ワセテヤッティルノニ』

「!?」
 タナトスの声。同時に、霧があつまり形作る。それは、やはり、いとおしい姿。今、消し去ったはずの、幻。
「い、…っ、やめろおおぉおおお!!」
 その形が動き出す前に、薙ぎ払う。再びそれは霧となり
 そして、ふたたび形作る。
 それを薙ぎ、そしてまた
 幾度消し去ろうがそれは蘇り現れる。
「…ハ…っ……、…ッごめん、っごめ、…なさい…ッ…も、ゆるし、て…お願いだから、もう…!」
 何度消し去ればいい、何度この手で愛する姿を殺せばいい
 消せない影がその形を最後まで形成し、そっと動き出す。
「すまない、エレフ…。私は、お前を悲しませてばかりだ。」
「…れ、おん…、」
「お前を守りたいのに、お前を一人にさせたくないのに、…その方法すらわからず、苦しめてばかりだ」
 悲しそうな、それでも安堵させようとか、柔らかな笑顔。
 最後に見たやせ細った震えた姿ではなく、初めて対峙した時、それよりももっと、元気な姿。
 黒い影も、いない。
 私が彼を奪わなければ、誰も彼を奪わない。

 もう うばわせない。

「…!…エレ、フ…」
 身体を引き寄せ抱き締める。力の限り抱き締める。
 抱きしめても、壊れない。
「…ごめん…、ごめん…、僕のせいだ、お前に苦しい思いをさせたのも、お前を死なせたのも、全部僕のせいだから、だから、恨んでも、いいから、憎んで、いいから…、」
 わかってる。レオンはそんなことはしない。
 僕が望めば笑って傍にいてくれる。
 だからこそ、苦しい。いっそ恨みごと一つ吐いてくれたらとすら思う。
 それほどに僕は彼に対して取り返しのつかないことをしたというのに。
「エレフ、…大丈夫だ」
「…ッ…、で、も…ッ…、…ご…め…、っ……」
 嗚咽が混じり、うまく言葉にならない。
 優しく頭を撫でられて、なんだかそれがとても嬉しくて、幼子のように甘えてしまって。
「ほら、エレフ、」
 レオンが指し示す先。其処に立つ、もうひとつの影。
「…ミーシャ…も、…ごめ…、っ…」
「エレフ…、」
 もう、離さない。ミーシャの身体もひきよせ、抱き締める。
「…夢でも、いい。…幻でも、なんでもいい…。もう、誰もいなくならないで。醒めないで。二度と、離さない」


「   だめよ、エレフ。   」


 空気を裂くような冷たい声。
 紛れもなく、抱き締めるその体から発せられたもの。間違えるはずない、ミーシャの声。
「ごめんね、エレフ。私達も、あなたも、タナトスが許す限り会う事ができる。」
「ミー…シャ…?何言って…」
「ごめんなさい、騙してたわけじゃないの。私は夢でも幻でもない。だけど、ずっと一緒には、いれない。」
 抱き締める身体が、消えていく
「っ!ミーシャ…!…!?レオン!」
 消えていく、透けて、霧散して、腕の中に何も、残らない。
 まるで白昼夢でも見ていたかのように、何も無く、愛した姿は何処にもいない。

 見渡せど、広い世界に僕はひとり



『失ゥ事ノ痛ミニハ慣レタノデハナカッタノカィ?ォヤォヤ、息仔ヨ、ドゥシタソンナ顔ヲシテ?
 嗚呼、ソノ器モソロソロ返シテモラォゥカ。 …ォヤスミ息仔ヨ、ィィ夢ヲ。』




***




「エレフ…エレフ…!」

 優しい声、確かな温もり。


「どうした、エレフ、見えて…いないのか…?」

 目を開けば愛しい姿。

「タナトス!もう一度エレフと会わしてくれる筈じゃなかったの!?」
『会ッティルデハナィカ、ソノ器ニ今ィルノハ紛レモナク君ノ兄ダ。―タダ、』

 優しい、優しい、夢。

『壊レテシマッタ。』
「壊れ…?どういう…」
『θトシテモ誤算ダッタ。繰リ返ス離別ニ息仔ノココロは耐ェキレナカッタ。』
「そんな…エレフ、お願い、返事して!」
「エレフ!」

 みんな、一緒。もう二度と離れない。

『スマナィ息仔ヨ、θノ中デ安ラカニ眠ルトィィ。』


 あたたかな腕に抱かれながら、僕は夢を視る

 

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